WTTカップファイナルズ シンガポール 男子準決勝 張本智和 vs カルデラノの試合を解説したいと思います。
ヒューゴ・カルデラノはブラジル出身で、12月15日時点の世界ランキングが4位で張本の5位よりも高いかなりの実力者です。
個人的な見どころはお互いのバックハンドを駆使した戦いです。
レシーブから積極的にバックハンドを使用する相手に対してはフォア前にサービスを出した後に空いているバックサイドを攻めるというパターンが多くなります。またサービスに関してはフォア前を意識させておいてバックサイドの深くにサービスを出したりします。
カルデラノはフォア前をレシーブだけではなく3球目でもバックハンドを多用する選手で、新しい卓球をしています。対する張本の早い打点でのバックハンドも見もので、大きなラリーになるとカルデラノが粘りを見せますが、短いラリーの展開では張本優勢の試合となりました。
1ゲーム目
点数は先に張本、後がカルデラノです。
■0-0
張本サービスでミドル前とフォア前にサービスを出します。それに対してカルデラノはバックハンドで張本のバックサイドにレシーブしますが、1本目はレシーブミス、2本目は張本がラリーを制します。
■2-0
カルデラノはミドル前にサービスを出します。張本は2本ともバックハンドで処理します。
■3-1
張本のフォア前のサービスに対してカルデラノはバックハンドで対応します。
0-0からのレシーブでは張本のバックサイドに返球して、点が取れていなかったためか、2本とも張本のフォアサイドに返球します。1本目はツッツキで張本のフォアサイドに返球して、張本が3球目攻撃をしかけたボールに対してカルデラノがカウンターを決めます。2本目はカルデラノがフォアサイドにチキータを送りますが、ミスをします。
■8-6
張本のフォア側へのツッツキに対してカルデラノがバックハンドで回り込んでドライブをしかけます。10年前くらいの卓球では考えられない動きです。レシーブでフォア前をバックハンドで対応する事はあっても、3球目でフォア前のボールをバックハンドで打つというのは考えられませんでした。
今回は張本のツッツキが台から出るか出ないくらいの長さであった事がポイントです。台上ではフォアハンドよりバックハンドの方が威力を出しやすいため、台上でも台からでてもバックハンドで対応するという戦い方を取っています。
このゲームは張本がフォアサイドを狙って、カルデラノにバックハンドを使わせた後の展開が上手くいき、張本がゲームを取ります。
2ゲーム目
カルデラノはサービスを張本のフォア前を中心に出します。
■3-4
カルデラノがレシーブでようやくフォアハンドを使ってツッツキをします。張本がバックドライブを決めます。
■4-6
張本はカルデラノのフォア前を中心にサービスを出していましたが、1本目はバックサイドにカルデラノから左に逃げていくようなショートサービスを出して、カルデラノが深くツッツキをしたボールに対して張本がストレートにバックドライブを決めます。
2本目はカルデラノのバックサイドにロングサービスを出します。カルデラノは短いサービスを待って構えていたため後ろに下がりながらの対応になったため、少しレシーブが甘くなり張本がラリーを制します。
■7-7
張本は4-6からバックサイドにサービスを出していたため、カルデラノは少しバックサイドに意識せざるを得ない状況です。そのタイミングでフォア前の厳しい所にサービスを出し、相手のミスを誘います。再びフォア前を意識させた後にバックサイドにカルデラノからみると左側に逃げていくショートサービスを出し、張本が3球目を決めます。ここでは張本のサービスを出すコースの駆け引きが上手くいきます。
■10-9
張本はフォア前にサービスを出してカルデラノにバックハンドを使わせた後に空いているバックサイドを狙って点を取り、このゲームを制します。
カルデラノのサービスミス2本を考えるとかなりギリギリの展開でした。
3ゲーム目
ラリーになれば張本優勢ではありましたが、カルデラノのバックハンドを使用したレシーブエースが4本程あり、9-9までの展開になります。その後デュースになるシーソーゲームが続きカルデラノがギリギリの所でゲームを取ります。
4・5ゲーム目
張本がフォア前サービスからの展開を上手くつくり、ラリーでは負けない展開、またカルデラノのサービスミスが多かった事もあり、危なげなく張本がゲームを取りゲームセット。
最後に
張本の前中陣でのバックハンドが光る試合でした。カルデラノのオールフォアならぬオールバックの勢いでバックハンドを使用する展開も面白いです。頭を柔らかくして新たな戦い方を作るのも楽しいかもしれませんね。
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