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卓球観戦を楽しむ方法

昔と比べて卓球観戦をする機会が増えました。

つい最近まで私にとって卓球は「プレイ」するもので、「観戦」するものではありませんでした。

たまにオリンピックや世界選手権など大きな大会があるときや、Youtubeでスーパープレーを見たりするくらいで楽しんでいましたが、「ラリーがすごい!」、「フォアドライブかっこいい!」、「ボール早い!」くらいで、内容を考える機会があまりありませんでした。

卓球場を始めたこともあり、漠然とみるのではなく、足の動かし方、体の使い方、競った場面での展開、3球目攻撃のやり方等色んな事に意識を持ちながら見るようになり、卓球を観戦するのがより楽しくなりました。特にそれぞれの技術よりも自分だったらどうするかを考えながら見ると楽しいです。自分なら9-9の際に序盤で効いていたサービスを出すとか、バックサイドにロングサービスばかり出されているから回り込んでフォアドライブするとか色々考えながら観戦するとスマホでながら作業をする間もなく試合が終わります。

試合に出ていらっしゃる方は上記のように自分と重ね合わせて観戦するというやり方が楽しいですが、卓球初心者・初級者の方だとそもそも試合に出ていないので、重ねられないと思います。そういった方はラバー・戦型・戦術について理解をすれば何故短いもしくは長い下回転サービスを出しているのか、何故フォア前にばかりサービスを出すのか、何故ストップじゃなくてツッツキをするか等がわかります。もちろん理解のできないプレーなども突然出てきたりしますが、予測もつかなかった面白さがあるのです。

上記を踏まえた上で卓球初心者・初級者でも卓球観戦を楽しめるようにラバーの種類の説明と戦型、またプロ選手の何がすごいのかわかりづらいと思うので、一般人ならどうなるか比較しながらご紹介したいと思います。

ラバーの種類と特性から見る戦型

ラバーは基本的にラケット面に接するスポンジと表面のゴムでできたシートからできています。一部にスポンジがないシートだけのラバーもありますが、使用している方はかなり少数です。

裏ソフトラバー

ラバーの表面は平たく、他のラバーと比べて回転がかけやすく一番使用されているラバーで、あらゆる戦型の選手が使用しています。トップレベルでは特に裏ソフトラバーを使用している選手が多く、使っていない選手を探す方が難しいです。

代表的な戦型:シェークドライブ型、ペンホルダードライブ

表ソフトラバー

スポンジとシートで作られているものと、スポンジのないシートだけのものがあります。表面に凹凸があり、裏ソフトラバーよりもボールとの接地面積が少ないため回転がかかりにくく、球離れが早いです。一方で相手の回転の影響を受けづらいというメリットもあります。球離れが早いという特性があるため台からあまり下がらずに戦う前陣速攻型と呼ばれる戦型の方がよく使用するので、女性のユーザーが多いです。

有名な使用選手は伊藤美誠選手、木原美悠選手、安藤みなみ選手がいます。マティアスファルク選手のように一部トップレベルの男性でも使用している選手がいますが、表ソフトラバーは裏ソフトラバーよりも球離れが早い分、失速するのも早いため、台から下がった展開が多い男性選手にとっては不利に働く事もあります。中国選手が伊藤美誠選手対策でサービスを徹底的に長い下回転サービスをバックサイドに出していたのが印象的です。表ソフトラバーは回転がかかりにくい、球離れが早いという性質があるため、下回転が強くかかっているボールに対して強打するには適していません。トップレベルになると十分威力のあるボールを打つこともできますが、裏ソフトラバーのボールよりも劣ってしまうため狙われるのです。

代表的な戦型:前陣速攻型

粒高ラバー

表ソフト同様スポンジとシートで作られているものと、スポンジのないシートだけのものがあります。 表ソフトのようにシートに凹凸がありますが、一つ一つの凹凸(粒)の高さが表ソフトよりも高く回転の影響を受けづらいです。粒が高いため、ピン球が当たると粒が倒れて力を吸収します。粒を倒す方向によって相手の回転を利用して返球をしたり、回転をなくしてナックルボールを出したりする事ができます。一方で自力で回転をかけることが難しく、回転のないサービスに対しては回転を利用する事ができないため、狙われる事があります。

粒高を使用している有名な選手は主にカットマンで佐藤瞳選手、橋本帆乃香選手等が挙げられます。守備型の卓球であれば相手に打たせてからの展開になるため、回転を利用する事ができます。また粒高だけを使用しているわけではなく、片面が粒高、もう片面には裏ソフトラバーを使用しているので、反転して使用する事もあります。

表ソフトよりも強打、回転をかける事がさらに難しいラバーであるため、カットマン以外はトップ選手で使用している方はかなり少数です。

初級者から中級者での使用者が一般的には多く、理由としては卓球には色んな回転があり、下回転・上回転・横回転・横下回転・横上回転等それぞれの回転に対応してラケット面を出して返球する必要があります。初級者の段階で回転をあまり考えずに返せるのが粒高ラバーなのです。しかし、ある一定のレベルを超えると回転をかけたり、強打を打つには適していないラバーであるため、使用しなくなるのです。

代表的な戦型:異質攻守型、異質ショート型、カットマン

一般人と上級者の違い

このテーマに関しては私の個人的な見方であり、全ての卓球プレーヤーが同じように考えているわけではありませんが、おおよその目安になると思って読んで頂ければと思います。

サービスの出し方

一般人:3球目攻撃がやりやすいサービスを出すが、できなかった場合はお手上げ。

上級者:3球目攻撃がやりやすいサービスを出すが、できない場合も想定している。

一般人(攻撃型)は自分の3球目攻撃をするためにサービスを出しますが、下回転サービスを綺麗にストップ(台上で2バウンドするボール)されたりするとツッツキ(下回転を台上で1バウンドで返球する方法で強打されやすい)で返してしまい相手に打たれて絶望的な展開になる事があります。打たれ弱いです。

上級者(攻撃型)は色んな展開に対応していきます。攻撃をしかけやすいサービスを出しますが、ストップ、チキータ(台上で横回転ドライブのようなもの)、深いツッツキ等色々されても備えています。攻められたとしてもブロック(相手の強打を止める技術)、カウンタードライブ(ドライブをドライブで返す)等で待っています。

フォア前サービスの処理

一般人:フォアツッツキかフォアフリック

上級者:フォアツッツキ、フォアストップ、フォアフリック、チキータ

一般人は強い相手に対してストップしようとしてネット前にボールが浮いて叩きこまれるという展開は避けたいという事と相手の打ちミスも見込めるので、深くツッツキをする傾向があります。

上級者は何でもできますが、全てをお披露目するわけではありません。効くレシーブをやります。長いツッツキレシーブばかりすると全て強打されてしまう可能性があるため、ストップもきっちりできて、最近ではフォア前にも関わらずバックハンドを使用してチキータ(台上で横回転ドライブのようなもの)という技術を使います。フォアハンドでフリックする技術は面ではじく技術で、少し安定性に欠けます。一方でチキータはドライブのようなもので弧線を描いて安定しやすく、フォアフリックよりも大きくバックスイングが取れるため威力のあるボールを打つ事ができます。一方でどこにサービスが来るかわからない状況でフォア前をバックで処理するという事はバックサイドを空けてしまう事になるので、リスクを伴います。またフォア前を実際にチキータしたとしても、その後バックサイドを狙われる可能性がありますので、戻れる足が必要なのです。テレビでプロの足を見ていて細い方をほとんど見たことがありません。並々ならぬ練習によって作り上げられた足なのだといつも感心してしまいます。

3球目以降

一般人:決まってくれ。

上級者:何本でも返す。

一般人(攻撃型)は3球目で決まってくれという思いが強く、打ったボールを眺めていたら返球されているという事が多々あります。

上級者(攻撃型)は何本でも打つ事前提に打っているため、体幹が崩れません。上級者でも決めにいったボールが返球されるという事はありますが、動いて間に合うボールを一般人のように眺めている事はありません。

また一般人は返球する事に必死ですが、上級者は相手が打ってくるコースを限定するようなボールを出して次に備えます。

最後に

Youtubeやプロリーグ(Tリーグ)等のおかげでプロの技術や試合展開等を見られるようになりましたが、まだまだ卓球を観戦するという文化は根付いていません。野球やサッカー等はプレーヤーじゃなくても戦術的な事を語れる方がいる印象ですが、卓球素人の方が戦術的な事を理解している事は稀だと思います。野球のようにどこにどの球種を投げて3振を取ったかわかるような感じで、どこにどの回転のサービスを出してどのような回転のボールが返球されたかが視覚的にわかれば卓球素人でも戦略的に考えながら楽しめるかもしれません。2021年の世界選手権でもサービス時、レシーブ時の得点率等が出ていたので、卓球素人の方でも少し戦略的な見方で楽しめたかもしれません。今後この動きが進んで観戦がより楽しくなる事と願います。

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